この不動産取引は、本当えにきつかったです。
買主と売主の板挟みでストレス100%で精神的に落ち込んでしまいました。
新人だった私が、知識がないばかりに起こしてしまったクレームを動画にしてみました。
これから宅建を活かして、不動産業界にチャレンジしたい!と考えている方にとって参考になると思います。
動画で視聴する場合はこちら。
◆あらすじ

マンションの購入を検討しているお客様を営業しました。
自宅を売却しないと不動産を購入できないとの要望で
そんな身勝手なことできるんか!と当時思いました。
初めての経験だったので、どうすれば良いんだ〜と頭を抱えてしまった案件です。
今思い返すと、簡単なことなんですが
初心者だった時の私にはどうやって進めて良いかもわからなかったんです。
◆問い合わせ
「駅前に出たマンションを購入したいんですけど…」
女性から電話がかかってきました。
「よっしゃ!いきなり契約できるぞ!」と心の中で思いました。
購入を希望されている物件は、年に1度出るか出ないかの
超人気物件で、資産価値としても十分良い不動産です。
話を聞いてみると以前から狙っていたそうで
案内一発で決まると、ワクワクしなが電卓で仲介手数料の金額を計算していました。
◆物件紹介
当日、ご主人様と一緒に物件を見学され
「この物件やっぱり良いな!よし購入するわ!」と
いきなり申し込みをいただきました。
一回のご案内で購入の申込をいただけるのは年に数回あるかないかです。
普通なら最低でも3回は案内業務を行うので
この案件は本当にラッキーです。
ご主人様は、大手のメーカーにお勤めで
年収も申し分なく住宅ローンも安心して組めるような方でした。
◆突然のカミングアウト
「今の自宅売ってからでもええよな?」
つまり、購入の為に自宅売却が条件ということです。
こうなると何が問題かわかりますか?
勘の良い方は築いているかもしれません。
購入先のマンションに申し込みを入れても、物件を抑えられることができない場合が一般的です。
新人の私は何を思ったのか!
「もちろん大丈夫です!売主様に交渉しています!」
と元気よく答えてしまいました。
これがクレームに発展してしまったのです。
◆購入先行
実務のお話になるのですが今回の場合は、結構ややこしくて
「その不動産欲しいです!でも自宅が売れなかったら買いません」
というなんとも売主様泣かせのお願いになってしまいます。
もちろんこのように話を進めていくことはできるのです
売主様の立場からするとどう思うでしょうか?
「え?ほんなら君の自宅が売れないと契約は解除するってこと?」
売主様にとっては、メリットのない契約になるわけです。
◆お客様からクレーム
「しらいさん、購入できるっていったじゃないか!
あのマンションは、人気でいつ出るかわからんのやぞ…」
私の説明不足なので、上司について来てもらってお客様のご自宅まで謝罪をしにいきました。
宅建士のせいで不動産の購入する機会を逃すなんていうのはあってはいけないことです。
それでもお客様は購入がしたいからなんとかしてくれとのことで
どうにかできないものかと一生懸命考え、2つの方法が出ました。
①購入先でもローンを借りる方法
②売却活動に期間を定めて買取保証をつける方法
お客様に説明をすると②の方法の方法で進めることになりました。
なんとか契約まで行けそうでほっとしました。
ここは、実務に深く入ってしまいますので
具体的な方法はnoteで有料記事として販売します!
希望の場合は…
◆契約完了
4,800万円。大型案件の契約になりました。
手数料金額は165万円。私の生活レベルだと5ヶ月は持ちます。
初めてのことだったのでヒヤヒヤしましたがなんとか契約できてよかったです。
お客様も「しらいさん。色々怒ってしまってごめんね。今回は白井さんのおかげで購入できたよ」と嬉しい言葉をいただきました。
不動産の契約は、実務知識は絶対に必要です。
知識がなかれば今回のようにお客様に不利益を与えてしまいます。
ただ、結局は諦めない気持ちがものすごく大切だと思いました。
なんとしてでも契約をまとめてやるぞ!という強い思いですね。
そのおかげで私のような新米の宅建士でも契約をすることができたんだと思います。
◆まとめ
今回の契約は、不動産の買い替えというよくあるお話です。
例えば、友人から「マンション住んでるんやけど、戸建に住替えたい」
という相談。これからありそうじゃないですか?
これから宅建士として仕事をしてみたい!と考えている方は
小さなチャンスも無駄にしないように、こういった細かい知識も押さえておきましょう!
◆買替えとは
買替えとはその言葉の通り、不動産を買い替えることを指しています。
「自宅が古くなったから新しい物件に買い換えよう」
「家族が増えたからマンションを売って戸建に買い替えよう」
このような例が挙げられます。
ここで知識として持っておかないといけないのは
買替えには大きく二つの方法があるということです。
・買い先行
・売り先行
という2つの方法があります。
この記事の内容は「買い先行」になります。
◆買い先行のメリット

新しい不動産を購入してから、今まで住んでいた不動産を売却することができるので
先に不動産を購入しておきたい場合や
ゆっくりと住替え先を探したい場合に大きなメリットです。
売り先行と違い、先に不動産を購入することができるので
仮住まい等の負担が減ります。
◆買い先行のデメリット

買い先行で住宅ローンを組む場合は
銀行に住宅ローンを借りることができるのかを確認する必要があります。
しかし、現実的なところダブルローンは簡単に利用することができません。
・住宅ローンを完済する必要がある。

ダブルローンは、現在借りている住宅ローン残債を全額返済できなければ、利用することがで気ない場合が一般的な考え方です。
ダブルローンの利用を考える際は
今の家の売却代金でローンが完済できるかどうかを調査しておく必要があります。
・審査が厳しくなる

住宅ローンを借りるには、ローンの審査に通らなければいけません。
ダブルローンの場合は、今の借入金額に合算されるので
返済していけるのかどうか、判断が慎重になります。
ローンの返済比率が基準を超える額は、借りることができない
年収に対してローンの年間返済額が占める割合。
これを返済比率と呼びます。
銀行はこの比率をみて、お金をかせるかどうかを判断材料の一つとしています。
例えば「フラット35」で定められている返済比率はこちらです。
銀行によって返済比率がどのくらいになるのかは異なりますが
30~35%の銀行が多いと思います。
また、返済比率は年収によっても異なり
年収が大きくなればなるほど許容の返済比率も大きくなります。
◆考えておきたい選択肢
買い先行の場合、お客様が心配されるのは
「今住んでいる不動産が売れなかったらどうしよう」です。
こういった心配を防ぐ方法として2つの例を挙げてみました。
◆買替特約

買替特約を利用する場合は、買替え先の売買契約に
「住んでいる家が売れなかったら、契約を無効にします」という特約条件を追記してください。
この特約は、自宅が売れなかったら、売買契約を白紙解除するものです。
買主様にとってはかなり有利な特約になります。
しかし、売主様に取っては、買替特約はリスクです。
「契約はするけど自宅が売れなかったら無しにします。」という
買主にとって自分勝手な契約になるので
普通の売主様であれば、購入申込書の段階で断られることが普通です。
◆買取保証

買取保証というのは、「○月○日までに売却できなかった買い取りますよ!」というサービスです。
こうすることで、今まで住んでいた不動産を確実に売却することができるので売主様は安心されます。
注意点は、不動産会社が買い取るので金額が安くなります。
大体査定金額の7~8割で購入する会社が多いです。
買い取りの保証をつける場合には、お客様としっかり打ち合わせをした上で行ってください。
◆特約の書き方(例)
買換特約は、自宅の売却案件と連動する契約です。
この場合は、「自宅が売れなかったら、本契約は解除します」と詳細に記入しておかなければいけません。
次の記入れいを確認してください。
特約記載例①

1.買主は、買主の別紙、不動産売買契約書の
物件の売却代金を本物件の購入代金に充てるものとする。
従って、令和〇年〇月〇日までに
買主の不動産が、金○万円以上で売却できなかった時
又はその売却代金が受領できなかった時は
買主は、令和〇年〇月〇日までは
この契約を解除することができる。

特約記載例②

2.前項によって、この契約が解除された場合
売主は、受領済みの金員を無利息で遅滞なく
買主に返還しなければならない。

特約記載例③

3.本条による解除の場合は
第〇条(手付解除)
第〇条(契約違反による解除)
以上の規定は適用されないものとする。
まとめ
今回は、買替案件の取引事例を紹介いたしました。
取引自体は至ってシンプルなのですが、特約条項で〇〇ならば△△と記入をしておかなければ大変なクレームになってしまいます。
我々宅建士の仕事は、売主様と買主様の間に立ち「中立」でいる必要があります。
専門家としてしっかりと業務を行っていきましょう!